差し歯が取れた!接着剤はNG?対処法と治療費を徹底解説

こんにちは。MI dent運営者の「M」です。ふと気づいたら口の中にあるはずのものがなくて、差し歯が取れたという経験をして焦っていませんか。突然のことで驚いてしまいますし、今すぐ接着剤でつけたくなる気持ちもわかりますが、それは絶対に避けるべき行動です。もし飲み込んだり、痛くないからといって放置したりすると、後々大きなトラブルになることもあります。治療にかかる値段や保険のことも気になりますよね。この記事では、そんな緊急事態にどう動くべきか、私の視点でまとめてみました。

  • 差し歯が取れた直後に絶対にしてはいけない危険な行動
  • 取れてしまった差し歯を再利用するための正しい保管方法
  • 保険診療と自費診療における費用の違いと相場観
  • 放置することで進行するお口の中の恐ろしい変化
目次

差し歯が取れた時の応急処置とNG行為

食事中や会話中に突然「ガリッ」という感触とともに差し歯が取れてしまうと、パニックになってしまいますよね。特に前歯などの目立つ場所だと、なんとかしてすぐに元に戻したいという衝動に駆られると思います。しかし、ここでの最初の行動が、その歯の寿命を決めると言っても過言ではありません。まずは落ち着いて、やってはいけないことと、やるべきことを整理していきましょう。

差し歯が取れたら接着剤は絶対禁止

まず、声を大にしてお伝えしたいのが、市販の瞬間接着剤を使って自分でつけ直すことは絶対にやめてくださいということです。

「明日大事な会議があるから」「歯医者に行く時間がないから」といって、アロンアルファなどの強力な接着剤で応急処置をしてしまう方がいらっしゃいますが、これは歯科治療の現場では「最もやってはいけないこと」とされています。私自身、いろいろな歯科情報に触れる中で、歯科医師の先生方が口を揃えて警告しているのを見てきました。

【なぜ接着剤がNGなのか?】

  • 細菌を閉じ込めてしまう:
    歯科医院では消毒と防湿(唾液の排除)を徹底して接着しますが、自宅ではそれができません。汚れや唾液と一緒に接着剤で蓋をすることで、内部で細菌が爆発的に繁殖し、深刻な虫歯や歯周病を引き起こします。
  • 噛み合わせが狂う:
    接着剤の厚みはミクロン単位で見るとかなり分厚いものです。これにより歯が浮いた状態で固定され、噛むたびに激痛が走ったり、他の歯や顎関節にダメージを与えたりします。
  • 外せなくなる:
    これが最大の悲劇ですが、歯科用ではない接着剤は医療用と違って「外すこと」を想定していません。いざ治療しようとしても外れず、最終的に差し歯を削り壊したり、最悪の場合は歯ごと抜歯せざるを得なくなるケースもあります。
  • 歯茎へのダメージ:
    接着剤がはみ出して歯茎に付着すると、化学火傷のような炎症を起こしてしまいます。

一時の見た目のために、将来その歯を失うリスクを背負うのは割に合いません。取れたままの状態でマスクをして過ごす方が、医学的には何倍もマシなのです。

差し歯が取れた時の正しい応急処置

では、取れてしまった差し歯はどう扱えばいいのでしょうか。正解は、「大切に保管して歯医者に持っていく」です。

実は、取れた差し歯の状態が良く、土台となる歯の方にも問題がなければ、そのままセメントでつけ直す(再装着)だけで治療が終わることもあります。これなら費用も時間も最小限で済みますよね。そのためには、差し歯を破損させないことが重要です。

【正しい保管手順】

  1. 軽く洗う:
    流水で軽く汚れを流してください。この時、熱湯消毒などはNGです。熱で変形したり、セラミックが割れたりする原因になります。
  2. 容器に入れる:
    ティッシュにくるむと、間違って捨ててしまったり、圧力がかかって割れたりする原因になります。タッパーやピルケースなどの「硬い容器」に入れて保管しましょう。
  3. 乾燥を防ぐ(できれば):
    完全に乾燥させない方が良い場合もあるので、濡れたティッシュを一緒に入れておくか、精製水に浸しておくと安心です。

そして、歯科医院に行くまでの間は、差し歯が取れた部分で硬いものを噛まないようにしてください。象牙質がむき出しになっている場合が多いので、刺激に弱いですし、欠けやすくなっています。

差し歯が取れたら再利用できるか

「この取れた差し歯、また使えますか?」というのは、誰もが気になるポイントだと思います。結論から言うと、「条件が揃えば再利用可能」です。

再利用できる条件としては、以下のポイントが挙げられます。

  • 差し歯自体(クラウン)が割れたり欠けたりしていないこと
  • 土台(コア)や歯の根っこ(歯根)が虫歯になっていないこと
  • 取れた部分の適合(フィット感)が変わっていないこと

一方で、内部で虫歯が進行していて土台がボロボロになっていたり、差し歯を支える歯の形が変わってしまったりしている場合は、残念ながら作り直しになります。特に、長年使っていた差し歯の下で「二次カリエス(虫歯の再発)」が起きているケースは非常に多いです。この場合、まずは虫歯の治療をして土台を立て直すところからスタートする必要があります。

差し歯が取れて痛くない時も要注意

差し歯が取れたのに、「あれ?全然痛くない」ということがあります。これはラッキーなことではなく、むしろ「歯の神経がない(失活歯)」であるために痛みを感じなくなっているだけの可能性が高いです。

神経を抜いた歯は、枯れ木のように脆くなっています。痛みがないからといって、「また今度行けばいいか」と放置してしまうと、以下のようなリスクが高まります。

【痛くないからこそ怖いリスク】

痛みという「警報」が鳴らないため、虫歯がどんどん進行しても気づきません。気づいた時には歯の根っこまでボロボロになり、抜歯しか選択肢がないという状態になりがちです。また、残った薄い歯質に噛む力がかかると、簡単に「歯根破折(歯が縦に割れること)」を起こします。こうなると、ほとんどの場合で抜歯となります。

「痛くない=大丈夫」ではありません。痛くない時こそ、手遅れになる前に急いで受診する必要があります。

差し歯を飲み込んだ時の対処法

食事と一緒に、うっかり差し歯を飲み込んでしまう誤飲事故も珍しくありません。この場合、まずは落ち着いて状況を確認しましょう。

基本的には、差し歯に使われる金属やセラミックは化学的に安定しているため、胃液で溶け出して中毒を起こす心配は少ないと言われています。多くの場合は、数日中に便と一緒に排泄されます。

ただし、以下の場合は注意が必要です。

  • 気管に入った場合(誤嚥):
    激しい咳き込みや呼吸困難がある場合は、肺の方に入ってしまった可能性があります。これは命に関わる緊急事態ですので、すぐに救急外来を受診してください。
  • サイズが大きい、または鋭利な場合:
    食道や胃の粘膜を傷つける恐れがあります。心配な場合は、内科でレントゲンを撮ってもらい、位置を確認することをお勧めします。

飲み込んでしまった場合、当然ながらその差し歯は再利用できません(排泄されたものを持参しても、衛生的に使用不可です)。新しい被せ物を作ることになります。

前歯の差し歯が取れた時の対処法

前歯の脱離は、審美的な問題、つまり「見た目」に直結するため、精神的なダメージが一番大きいですよね。仕事や学校に行けないと悩む方も多いでしょう。

この場合でも、やはり接着剤はNGです。一番の解決策は、「できるだけ早く歯科医院に行き、仮歯(カリバ)を入れてもらうこと」です。

歯科医院に電話をする際、「前歯が取れてしまって、人前に出る仕事があるので困っている」と具体的に事情を伝えれば、急患として対応してくれるクリニックも多いです。最終的な差し歯を作るには時間がかかりますが、プラスチック製の仮歯であれば、その日のうちに(あるいは数日で)作製して見た目を回復できることがほとんどです。

受診までの間は、マスクで隠すのが一番安全です。無理に自分でなんとかしようとせず、プロに頼って仮の歯を入れてもらいましょう。

差し歯が取れた後の治療費と放置リスク

さて、ここからは少し現実的な「お金」と「リスク」の話を深掘りしていきましょう。差し歯が取れた原因によっては、簡単な修理で済む場合もあれば、高額な治療費がかかる場合もあります。また、放置した場合にどのような代償を払うことになるのかも理解しておく必要があります。

差し歯が取れた時の値段と保険適用

治療費は、「取れたものをそのまま戻せるか」それとも「作り直す必要があるか」、そして「保険診療か自費診療か」によって大きく変わります。

治療内容費用の目安(3割負担の場合)備考
再装着(そのままつける)約500円〜1,000円程度最も安価。診察代やレントゲン代は別途必要。
保険の差し歯(銀歯など)約3,000円〜10,000円部位によって使える材料(銀歯、CAD/CAM冠、硬質レジンなど)が異なる。
自費の差し歯(セラミック等)約80,000円〜150,000円以上全額自己負担。見た目や耐久性に優れる。

【保険診療の特徴】
費用が安く抑えられるのが最大のメリットです。ただし、前歯にはプラスチックを貼り付けた金属、奥歯には銀歯などが使われることが多く、見た目や耐久性(変色しやすい、汚れがつきやすい)には限界があります。また、金属アレルギーのリスクも考慮する必要があります。

【自費診療(自由診療)の特徴】
オールセラミックやジルコニアといった材料を使えます。天然の歯のような美しさがあり、表面がツルツルしているため汚れがつきにくく、虫歯の再発リスクを下げることができます。初期費用は高いですが、長い目で見れば「歯を守るための投資」としてコストパフォーマンスが良いと考えることもできます。

差し歯の土台ごと取れた場合の治療

差し歯が取れた時、歯の形をした被せ物だけでなく、その中にある長い棒のようなもの(コア・土台)も一緒にくっついてくることがあります。これは「土台ごと脱離」した状態です。

この場合、状況は少し深刻かもしれません。土台が取れる原因として、以下の可能性が高いからです。

  • 土台を接着していたセメントが劣化した
  • 土台の下の歯根が虫歯になっている
  • 歯の根っこが割れている(歯根破折)

特に怖いのが歯根破折です。土台ごと取れた差し歯を持って歯科医院に行き、レントゲンを撮ってみたら「根っこが割れているので抜歯ですね」と診断されるケースは非常に多いです。もし根っこが無事であれば、再度土台を立て直して被せ物を作ることができますが、治療期間や費用は、被せ物だけが取れた場合よりもかさむことになります。

差し歯が取れて臭いと感じる原因

取れた差し歯の匂いを嗅いでみて、強烈な悪臭がしてショックを受けたことはありませんか?実はこれ、差し歯の中で起きていたトラブルのサインなんです。

あの独特なドブのような臭いの正体は、主に以下の3つが混ざり合ったものです。

  1. 嫌気性細菌の増殖:
    差し歯と歯の隙間に入り込んだ細菌が繁殖し、メチルメルカプタンなどの揮発性硫黄化合物(ガス)を出しています。これは歯周病菌特有の臭いでもあります。
  2. 溜まった膿:
    根っこの先で炎症(根尖性歯周炎)が起き、膿が溜まっている場合、それが漏れ出して強烈な臭いを発します。
  3. 食べカスの腐敗:
    隙間に入り込んだ食べ物が取り除けず、体温で温められて腐敗した臭いです。

つまり、「臭い」ということは、差し歯の下で細菌感染が進行している証拠です。これを放置すれば、口臭が強くなるだけでなく、感染が骨にまで広がる恐れがあります。取れたことは、ある意味で「この病変に気づくチャンスだった」と捉え、しっかりとした根管治療(根の消毒)を受ける必要があります。

差し歯が取れたまま放置するリスク

「仕事が忙しいから」「お金がないから」「マスクしてるからバレないし」といって、差し歯が取れた状態を数週間、数ヶ月と放置してしまうと、取り返しのつかない事態になります。これは脅しではなく、身体の生理的な反応です。

【放置によって起こる口腔崩壊のシナリオ】

  • 歯が動く(歯列の崩壊):
    歯は隣の歯や噛み合う歯と支え合っています。スペースが空くと、隣の歯が倒れ込んできたり(傾斜)、噛み合う相手の歯が伸びてきたり(挺出)します。数ヶ月で目に見えて動き、いざ治療しようとしてもスペースがなくて差し歯が入らなくなります。
  • 虫歯の急速な進行:
    象牙質はエナメル質よりも酸に弱いため、あっという間に虫歯になります。残せるはずだった歯質が溶け、抜歯しか選べなくなります。
  • 噛み合わせのズレと体の不調:
    一本の歯がないだけで、全体の噛み合わせのバランスが崩れ、肩こりや頭痛、顎関節症を引き起こすことがあります。

放置すればするほど、治療期間は長くなり、治療費も高額になります。「取れた直後に行く」のが、最も経済的で身体への負担も少ない選択なのです。

まとめ:差し歯が取れたら即受診を

差し歯が取れた時は、焦らず騒がず、まずはその歯を容器に保管してください。そして、絶対に瞬間接着剤を使わずに、できるだけ早く歯科医院の予約を取りましょう。

痛みがないからといって放置したり、自分でなんとかしようとしたりすることが、結果的に一番高い代償を払うことになります。取れた原因がセメントの寿命なのか、虫歯の再発なのか、それとも歯根の破折なのかは、レントゲンを撮ってみないとわかりません。

歯は、一度失うと二度と戻ってこない貴重な財産です。今回の「取れた」というトラブルをきっかけに、お口の中の健康状態を見直し、より長く自分の歯で噛めるような治療選択をしていただければと思います。まずは勇気を出して、歯医者さんに電話してみてくださいね。

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