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歯の土台がむき出し!痛くないからと放置が危険な理由と対処法

ふと鏡を見たときや舌で触れたときに、被せ物が取れて歯の土台がむき出しになっていることに気づくと本当に焦りますよね。特に痛みがない場合は、つい忙しさを理由にそのままにしてしまいがちですが、実はその状態こそが大きな落とし穴かもしれません。歯の土台がむき出しで痛くない場合や黒い変色が見られるとき、さらには嫌な臭いがするといった症状には、それぞれ重要なサインが隠されています。
私自身も歯のことで悩んだ経験が多いので、その不安な気持ちは痛いほどよくわかります。この記事では、そんな緊急事態にどう対応すべきか、そして将来的に歯を守るためにどのような選択肢があるのかを、私なりに整理してお伝えしたいと思います。
- 歯の土台がむき出しでも痛みがない場合に潜んでいる深刻なリスク
- 臭いや黒ずみといった不快な症状が発生する根本的な原因とメカニズム
- 自分で接着剤を使って修理することの危険性と絶対に避けるべき理由
- 治療にかかる期間や費用の目安と保険診療と自由診療の違い
歯の土台がむき出しでも痛くない危険な理由

被せ物が取れてしまったとき、一番怖いのは「痛み」だと思いますが、逆に「痛くない」という状況がかえって判断を鈍らせることがあります。ここでは、なぜ痛みがないのか、そしてその無痛状態の裏でどのようなリスクが進行しているのかについて、詳しく見ていきましょう。痛みがないからといって安全というわけでは決してありません。むしろ、静かに進行するトラブルに気づくための重要なセクションです。
痛くないからと放置するリスク
被せ物が取れて土台がむき出しになっても痛みを感じない場合、多くの方は「ああ、よかった。とりあえず痛くないから今度時間があるときに歯医者に行けばいいか」と考えてしまうかもしれません。しかし、これこそが最も警戒すべき「サイレント・リスク」なのです。
そもそも、なぜ歯の中身がむき出しになっているのに痛くないのでしょうか。その答えは、その歯が過去に「根管治療(神経を取る治療)」を受けている可能性が高いからです。神経がある健康な歯であれば、象牙質が露出した時点で風がしみるような鋭い痛み(知覚過敏)を感じ、すぐに歯科医院へ駆け込むはずです。しかし、神経がない歯はこの警報システムが機能しません。
痛くないからといって放置してしまうと、以下のような深刻な問題が水面下で進行します。
放置することで高まるリスク
- 無自覚な虫歯の進行: 防御壁を失った歯質や根の入り口から細菌が侵入し、痛みがないまま内部で虫歯が広がります。
- 根の病気の再発: 唾液に含まれる細菌が根の奥深くまで入り込み、根尖性歯周炎(根の先の膿)を引き起こす確率が高まります。
- 歯質の崩壊: もともと脆くなっている歯が、噛む力に耐え切れずに欠けたり割れたりしやすくなります。
私が調べたところによると、痛みがない状態で長期間放置された歯は、気づいたときには保存不可能な状態、つまり「抜歯」せざるを得ない状況になっているケースが非常に多いそうです。「痛くない=安全」ではなく、「痛くない=体のSOSが届かない危険な状態」と認識を変えることが、大切な歯を守る第一歩だと私は思います。
土台が臭い原因と対策
土台がむき出しになった箇所から、なんとも言えない不快な臭いが漂ってくることがあります。「ドブのような臭い」や「腐ったような臭い」と表現されることもありますが、これは単なる口臭の問題ではなく、細菌活動の証拠です。
この強烈な臭いの主な原因は、嫌気性菌(けんきせいきん)と呼ばれる細菌たちの代謝活動にあります。被せ物が外れる前の段階で、実は土台と被せ物の間にわずかな隙間が生じており、そこで接着剤が溶け出したり(ウォッシュアウト)、プラーク(歯垢)や唾液が滞留したりしていた可能性が高いです。
嫌気性菌と臭いのメカニズム
酸素が少ない環境を好む細菌が増殖し、タンパク質を分解する過程で「揮発性硫黄化合物(VSC)」というガスを作り出します。これが、あの鼻をつく特有の悪臭の正体です。
また、土台そのものの適合が悪く段差があったり、古くなった接着剤が細菌の温床になっていたりすることも臭いの原因となります。対策としては、まずは優しくブラッシングをして汚れを取り除くことですが、根本的な解決には歯科医院で汚染された土台を除去し、消毒する必要があります。臭いは「細菌がそこで繁殖している」という明確なサインですので、消臭スプレーなどで誤魔化さず、早めに受診しましょう。
黒い変色が見られる場合
鏡を見たときに、むき出しになった土台やその周りの歯茎が黒ずんでいると、見た目的にもショックを受けますし、「これってすごく悪い病気なんじゃないか」と不安になりますよね。この黒変にはいくつかの理由が考えられます。
まず一つ目は、「虫歯(二次カリエス)」です。被せ物の下で密かに虫歯が進行していた場合、軟化した象牙質が茶色や黒色に変色します。特に神経のない歯は痛みがないため、被せ物が取れて初めて中の黒さに気づくというパターンが多いようです。
二つ目は、「メタルコア(金属の土台)」の影響です。保険診療でよく使われる銀合金の土台を入れている場合、長い年月をかけて金属イオンが溶け出し、歯や歯茎に沈着してしまうことがあります。これは「メタルタトゥー」とも呼ばれ、刺青のように組織を黒く染めてしまいます。残念ながら、一度染まってしまった歯茎の黒ずみは自然には消えません。
三つ目は、「歯根破折」のサインである可能性です。もし歯の根っこにヒビが入ったり割れたりしている場合、その割れ目に沿って汚れや浸出液が溜まり、局所的に黒く見えることがあります。これは歯の保存に関わる非常に重大なサインですので、黒ずみを見つけたら「ただの汚れかな?」と軽く考えず、詳しく診てもらうことが大切です。
自分で接着剤を使ってはいけない
これは今回、私が最も強くお伝えしたいことの一つです。取れてしまった被せ物や土台を、市販の瞬間接着剤(アロンアルファなど)で自分で付け直すことは、絶対にやめてください。
ネットで検索すると「応急処置として接着剤を使った」という体験談が出てくることもありますが、歯科治療の観点からすると、これは「百害あって一利なし」の危険行為です。なぜなら、瞬間接着剤は口の中で使うことを想定して作られていないからです。
瞬間接着剤を使ってはいけない4つの理由
- 毒性と炎症: 成分が溶け出して歯茎や歯の内部に化学的な火傷や激しい炎症を引き起こす恐れがあります。
- 噛み合わせのズレ: 歯科用のセメントはミクロン単位で厚みを調整しますが、市販の接着剤は厚みが出てしまい、噛んだ時に「高い」状態になります。これが歯根破折の原因になります。
- 虫歯の封じ込め: 消毒せずに接着するため、細菌を中に閉じ込めてしまい、密閉空間で虫歯が爆発的に進行します。
- 再治療が困難に: これが一番怖いです。ガチガチに固まってしまうと、歯科医院で外そうとしたときに、健全な歯ごと削り取らなければならなくなります。結果として、本来残せたはずの歯を抜くことになる可能性が非常に高くなります。
「明日大事な会議があるから」「歯医者に行く時間がないから」という気持ちはわかりますが、その一瞬の判断が、将来的にその歯を失う決定的な要因になりかねません。取れたものはそのままにして、歯科医院へ向かいましょう。
取れた被せ物は捨てずに持参
被せ物や土台がポロッと取れたとき、「もう使えないだろう」と思ってゴミ箱に捨ててしまっていませんか?実はそれ、まだ使えるかもしれません。
取れたものが変形しておらず、また土台の歯の方にも虫歯などの問題がなければ、歯科医院で専用のセメントを使って「再装着(リセメンテーション)」できる可能性があります。これができれば、治療は1回で済みますし、費用も時間も大幅に節約できます。
ですので、取れたパーツは以下のように扱ってください。
- 流水で軽く洗う(排水溝に流さないように洗面器などを使ってください!)
- ティッシュペーパーでくるむか、小さな保存容器やジップロックに入れる。
- 歯科医院を受診する際に必ず持参する。
もし誤って飲み込んでしまった場合は、気管に入っていなければ数日で排泄されますが、無理に探す必要はありません。その場合は「飲み込んでしまいました」と正直に伝えれば大丈夫です。
食事などの応急処置の注意点
歯科医院の予約が取れるまでの数日間、どのように過ごせばよいのでしょうか。日常生活で特に気をつけたいのが「食事」です。
まず、取れた側の歯で物を噛むのは厳禁です。土台がむき出しになった歯は、いわば「ヘルメットを被っていない状態」の頭のようなものです。非常に無防備で脆い状態なので、硬いものを噛んだ拍子に、歯の根っこが縦に割れてしまう(歯根破折)リスクがあります。一度割れてしまった歯根は、残念ながら元には戻りません。
食事の際は、意識して反対側の歯を使うようにしましょう。また、ガムやキャラメルなどの粘着性の高い食べ物は、仮蓋や残っている詰め物をさらに引き剥がしてしまう可能性があるので避けた方が無難です。
歯磨きについては、不潔にすると歯肉が腫れてしまい、治療がスムーズに進まなくなるので、清潔に保つことは大切です。ただし、土台の周りはデリケートになっているので、歯ブラシを強く当てず、優しく撫でるように汚れを落としてください。冷たい水がしみる場合は、ぬるま湯でうがいをするなどの工夫も有効ですね。
歯の土台がむき出しになった際の治療法

さて、ここからは実際に歯科医院に行ったとき、どのような治療が行われるのかについて解説していきます。期間や費用、そして将来のためにどのような素材を選ぶべきかなど、患者として知っておきたい情報をまとめました。これを読んでおけば、歯医者さんでの説明もスムーズに理解できるはずです。
治療期間はどのくらいかかるか
治療期間は、むき出しになった土台の状態によって大きく変わります。大きく分けて2つのパターンが考えられます。
1. そのまま付け直せる場合(最短コース)
土台も歯もきれいで、虫歯などの問題がない場合です。取れたものを洗浄・消毒してセメントで接着するだけなので、通院は1回で完了します。
2. 再治療が必要な場合(通常コース)
多くの場合はこちらになります。内部で虫歯が進行していたり、根の先に膿が溜まっていたりする場合、あるいは土台を作り直す必要がある場合です。
- 根管治療が必要な場合: 既存の土台を外し、根の中を消毒します。状態によりますが、数回〜数ヶ月の通院が必要です。
- 土台の作り直し: 型取りをして新しい土台を入れます(約2回)。
- 被せ物の製作: 新しい土台の上に被せ物を作ります(約2回)。
トータルで見ると、順調にいけば1ヶ月〜1ヶ月半程度の期間がかかることが一般的です。根の治療が難航すると、さらに期間が延びることも覚悟しておく必要があります。
治療費の目安と保険適用
気になるお金の話です。歯科治療には「保険診療」と「自由診療(自費)」の2種類がありますが、どちらを選ぶかによって費用は大きく異なります。
| 項目 | 保険診療(3割負担の目安) | 自由診療(全額自己負担) |
|---|---|---|
| 根管治療 | 数千円〜1万円程度 | 数万円〜10万円以上 ※マイクロスコープ等使用 |
| 土台(コア) | 約1,000円〜1,500円 ※メタルコアなど | 1万円〜3万円程度 ※ファイバーコアなど |
| 被せ物(クラウン) | 約3,000円〜8,000円 ※銀歯や硬質レジン | 10万円〜16万円程度 ※セラミックなど |
保険診療は費用を安く抑えられるのが最大のメリットですが、使用できる材料や治療法に制限があります。一方、自由診療は高額になりますが、見た目の美しさだけでなく、再発リスクを抑える精密な治療や、体に優しい材料を選ぶことができます。
※上記の金額はあくまで一般的な目安です。実際の費用は医院や症例によって異なりますので、必ず受診先の歯科医院で確認してください。
差し歯の土台は素材選びが重要
再治療をする際、もし土台を新しく作り直すことになったら、どの素材を選ぶかは非常に重要な決断になります。なぜなら、土台の素材が「歯の寿命」を左右すると言っても過言ではないからです。
主に使われるのは以下の2つです。
メタルコア(金属製の土台)
保険適用で安価で丈夫ですが、硬すぎることがデメリットになります。強い力がかかったとき、金属はたわまないため、その力が全て歯の根っこにかかり、「くさび」を打ち込むように根を割ってしまう(歯根破折)リスクがあります。
ファイバーコア(グラスファイバー製の土台)
ガラス繊維を束ねたもので、主に自由診療(条件により保険適用の場合もあり)で使われます。最大の特徴は、「歯の象牙質に近いしなり(弾性)」を持っていることです。強い力がかかっても、歯と一緒にたわんで力を逃してくれるため、歯根破折のリスクを大幅に減らすことができます。また、光を通すので、上にセラミックを被せたときに非常に美しく仕上がります。
私の考え
目先の治療費ももちろん大切ですが、将来的に「歯が割れて抜歯」という最悪の事態を避けるための投資として考えると、歯に優しい「ファイバーコア」を選ぶ価値は非常に高いと私は感じています。
抜歯を避けるための早期受診
「土台むき出し」の状態を放置したとき、最終的に行き着く先は「抜歯」です。これは決して脅しではありません。
歯茎が盛り上がってきて土台を覆い隠してしまったり、隣の歯が倒れてきてスペースがなくなったりすると、治療の難易度は跳ね上がります。さらに、剥き出しの象牙質が虫歯でボロボロになり、被せ物を維持できるだけの歯質が残っていなければ、もうその歯を残すことはできません。
特に恐ろしいのが、先ほどもお話しした「歯根破折」です。骨折した骨はくっつきますが、一度割れた歯の根っこは二度と自然にはくっつきません。割れた隙間から細菌が入り放題になり、周囲の骨を溶かしていくため、抜くしかなくなってしまうのです。
逆を言えば、「割れる前に」「虫歯が進む前に」受診さえすれば、歯を残せる可能性は十分にあります。早期対応こそが、最も安く、かつ確実に自分の歯を守る唯一の方法なのです。
歯の土台がむき出しの対処まとめ

最後に、今回の記事のポイントをまとめます。歯の土台がむき出しになってしまったときは、以下のことを心に留めて行動してください。
まとめ
- 「痛くない」は危険信号: 神経がない歯だから痛くないだけ。見えないところで病気が進行している可能性大です。
- 接着剤は絶対NG: アロンアルファでの自己修理は、歯の寿命を縮め、抜歯への近道になります。
- 素材選びは慎重に: 再治療の際は、歯根破折を防ぐ「ファイバーコア」などの選択肢を検討してみてください。
- とにかく早く歯医者へ: 放置すればするほど、治療費も期間もリスクも増大します。
突然のトラブルで不安かと思いますが、正しい知識を持って早めに行動すれば、きっと良い結果につながるはずです。この記事が、あなたの大切な歯を守るためのきっかけになれば嬉しいです。まずは勇気を出して、歯科医院に連絡してみてくださいね。
※本記事は一般的な歯科知識に基づく情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を代替するものではありません。個々の症状や治療法については、必ず歯科医師の診断を受けてください。

